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OPEN WORLD

本展は、コンテンポラリーカルチャーメディア「New Scale」のキュレーションにより、Soft Baroque、Pierre Castignola、Geray Mena、八木沢俊樹の4名のアーティストが参加し、それぞれの実践を通して現代社会の複雑さに独自の視点からアプローチしています。 タイトルの「OPEN WORLD」は、ビデオゲームの“オープンワールド”形式に着想を得ており、鑑賞者とアーティストの双方が“主人公”となることで、作品とのインタラクションを通じて無数の物語が立ち上がる構造となっています。 Soft Baroqueは、ベンチやテーブルといった古典的な家具のフォルムに感覚的な違和感を組み込み、多層的な知覚を誘発します。Pierre Castignolaは、日用品を題材に消費文化と知的財産の境界を探り、鋭い批評性を提示します。Geray Menaの写真作品は、儚い一瞬と永遠の緊張感を同時に内包し、時間の層を可視化します。八木沢俊樹は、陶芸、木彫、デジタル技術を横断的に用いながら、物質と知覚の枠組みを再考します。 本展は、鑑賞者が作品と対話しながら新たな物語を紡ぎ、多様な視点が響き合う場となります。視覚文化の未来が開かれるこのページの中で、「OPEN WORLD」をぜひご体験ください。

ソフト・バロックは、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで出会ったオーストラリア出身のニコラス・ガードナーとスロベニア出身のサーシャ・シュチュチンによるデザインデュオ。2013年に設立され、V&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)やスイス・インスティチュート、パトリック・パリッシュ(NY)など国際展で作品が展示される。BalenciagaやHEMとのコラボも手がけ、素材と機能の矛盾やデジタルと物質の境界を探究。近年はスロベニア・リュブリャナへの拠点移転に伴い、共同作業と現地の豊かな環境が創作に新たな影響をもたらしている。

ピエール・カスティニョーラは、フランス出身で、2018年にデザイン・アカデミー・アイントホーフェンを卒業し、同年にオランダに自身のスタジオを設立したデザイナーです。日常的なモノを題材に、消費社会や記号論、知的財産制度を批評的に掘り下げるコンセプチュアルな作品づくりで知られています。代表作「Copytopia」では、プラスチック製ガーデンチェアの特許保護を巡り、複数の既製品パーツを組み替えることで「模倣と創造のユートピア」を提示。これは、紙幣のコピー禁止に衝撃を受けた体験から着想を得ており、真正性や所有権への問いをポップに可視化しています。

ジェレイ・メナはスペイン出身、アムステルダム・リエトフェルト・アカデミーで絵画や彫刻、衣料デザインを学び、写真を主軸に展開するジェレイ・メナ。ロンドンやパリを拠点に、家具職人としての経験を経て、素材や構造への深い敬意を養いました。AIや大判カメラを活用し、消えゆくものの記録と構築の間を行き交う視覚的探求を続けています。ローザンヌ州立美術大学(ECAL)で教育にも力を注ぎ、新世代への批評的視座を共有しながら、個人制作と商業両軸で国際的に活躍中です。

八木沢俊樹は、アーティスト、デザイナー。陶芸・木工・3Dプリント・CGIといった多様なメディウムを縦横にかけ合わせ、新しい素材としての存在や物語を生み出す。コンテンポラリーメディア「New Scale」の創設者。M/M(Paris)、JW Anderson、Dis、Bagn & Olufsenなど国際的なデザイナーやアーティスト、企業との協業を通じ、物理とデジタルの交差点に身を置きながら、視覚の構造や知覚の制度を撹拌する作品世界を探求している。 New Scale は、現代のデザイン、アート、音楽、建築といった創造領域における思考と感性の動向を捉えるメディアプラットフォームです。世界各地の多様な実践や表現をインタビュー形式で収集・編集し、そのエッセンスを読者へと届けることで、新たなインスピレーションの源となることを目指しています。また、展覧会のキュレーションや限定プロダクトの販売を通じて、情報を体験として提供する取り組みも行っています。知覚と想像力に静かに働きかけながら、日常の中に思考を促す問いの場を創出することを目指しています。